この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
星の島で恋をした【完結】
第23章 《二十三》
 そう口に出すと、セルマは自分があまりにも滑稽で、泣けてきた。それと同時に自分が惨めで、笑えてきた。

 だけどここで泣いたって仕方がないと気がつき、鼻の奥がつんとするのを我慢しようとしたけれど、それは一歩遅くて、セルマの瞳から涙があふれた。

 涙が一粒こぼれてしまえば、それが呼び水となり、涙が後から後からあふれて来た。それに先ほどもみっともなく嗚咽を洩らして泣いたのもあり、涙脆くなっていた。

 突然泣き出したセルマに焦るのはリクハルドだ。



「セルマ?」
「……ごめ……ん、な、さい」
「な、どうして謝る? どこか痛いのか? あの男になにかされたっ?」


 リクハルドのおろおろした声にセルマは首を振ったけれど、そうするとますます悲しくなって、涙が止まらない。

 今まで、男の人に優しくされたことがなかった。

 初めて優しくされて、勘違いしてしまった。リクハルドの優しさは一族の使命だったと知り、悲しくなった。

 だけど、リクハルドがセルマに優しい理由を知っても、嫌いになれなかった。好きで愛おしいという気持ちは変わらなかったけれど、リクハルドから使命以上の気持ちはもらえないと分かった。

 カティヤ王女から護衛の任は解かれてしまったけれど、セルマは騎士団を退団していない。

 セルマの帰る場所はリクハルドの腕の中ではなく、カティヤ王女の側でもなく、まだ籍が残っているはずの騎士団だ。



「もう二度とリクハルドに会えないと思ったから、また会えて嬉しかった。……泣き止んだら、帰るから。それまでもう少し、腕の中にいさせてね」


/137ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ