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星の島で恋をした【完結】
第9章 《九》
 最初、セルマの首筋にある痣に反応しているのかと思ったが、花芯を舐め上げて分かったのは、どうやら強い快感に肩の傷口が反応するということだった。



 このことから導き出される結論は──。

 本来ならばこの呪いはカティヤ王女に掛けられるはずだった。

 公爵はなにがなんでもカティヤ王女を手に入れようとしていた。

 だけどそれを阻止したのは──セルマだった。

 この呪いはきっと、公爵家の息子以外に牙を剥くようになっている。呪いを解かない限り、男はどちらにしてもセルマと繋がることはできない。

 公爵がカティヤ王女を欲しているのは、彼女が王女だということ以外にも理由がある。男にはその理由がなにか、分かっていた。

 だけど、と男は思う。

 公爵はまだ気がついていないが、カティヤ王女だけではなく、セルマも公爵が欲しいと思っているものを持っている。

 そのことにいち早く気がついたカティヤ王女はセルマの身を護るため、彼女直属の護衛とした。

 そのことに気がついた男はカティヤ王女と交渉してきた。



 一目見たときから男の心を激しく揺さぶったセルマ。穏やかな島で穏やかに過ごしていたのを邪魔しにきたと思った男はセルマに対して問答無用に攻撃を仕掛けてしまった。

 そのせいでセルマの印象は最悪になってしまったというのは男には分かっていた。

 しかし、男の心を乱した原因が分かってしまえば──男は今、セルマが欲しくて仕方がなかった。

 だけどこのままだと、公爵にセルマを取られてしまう。

 男はなにがなんでもセルマを手に入れたいと思った。

 なによりも彼女は、男がずっと欲しいと思って探していたものを持っていたのだから。

「セルマ、しばし痛みと快感を我慢してくれ」

 男にはセルマを呪いから解放しなければならない理由があった。


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