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星の島で恋をした【完結】
第10章 《十》
 それでも、あまりの痛さにセルマの身体に力が入った。

「星に焼かれて死ぬよりはマシだ、少し我慢しろ」

 確かに少し前まで星に焼かれて死んでもいいと思った。そうだけど、この仕打ちはひどいのではないだろうか。

「乙女を奪えないから、これが限界だ」

 男の指がさらにずぶりと肩に入り込み、セルマは痛みに悲鳴を上げた。あまりにもひどくてどうすればいいのか分からない。

 男の指先がセルマの左肩をぐりぐりとかき回し、痛くて痛くてどうにかなりそうだった。

「ん……っ。ようやく取れた」

 ぐちゅっと湿った音がした後、なにかがずるりと抜けたような気配。

「【エ キエ ド ノット オン イア チイアチ】」

 男の口からこぼれでたのは痛みを消し去る詠唱。

「【エラ ガサフ オ ユジク】」

 そして傷口を塞ぐ呪文。

「【エクット イン イルメン アナカル セイ ウカクッフ】」

 最後に唱えられたのは……。ゆっくりと睡眠を取ることができる呪文だった。
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