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星の島で恋をした【完結】
第10章 《十》
   *

 眩い光が瞳の上で揺れている。まだ身体がだるくて眠いから起こさないで欲しい。

 光を避けようと寝返りを打とうとしたが、背中になにかを挟まれているようで、動けなかった。

 なんで、どうしてこんなことになっているのだろうか。

 ──とそこまで考えて、セルマの意識は一気に覚醒した。

 目を開けると……。

「っ!」
「そんなにカッと目を見開いて起きなくても」

 目の前に金色の瞳を持った男が柔らかく笑っていた。

「昨日は無茶をしてすまなかった」
「え……あ、あぁっ!」

 男に言われ、思い出した。

 昨日、服をはぎ取られて最後まではしなかったもののさんざん身体をもてあそばれた挙げ句、左肩の傷口に指を突っ込まれた上に焼かれたのだ。これは激しくひどい。抗議をしようと声を出そうとしたら、口の中がからからで咳が出た。

「文句はいくらでも聞いてやる。先に傷口を診るから、うつ伏せになって」

 そう言われ、セルマは右肩を下にして寝やすいようにされていることに気がついた。背中側に背もたれらしきものがされていたため、そのせいで寝返りを打つことができなかったらしい。背もたれが取り払われ、左肩を後ろから軽く押されて簡単にうつ伏せにさせられた。

「傷口は……まだ跡が残ってるな。痛みは?」

 傷口を指先で押されたのが分かったが、あれほど痛かったのがほとんど痛みを感じなかった。セルマはないという意味で小さく首を振った。

「それならよかった」

 そしてセルマの耳に心地よい声で傷口を塞ぐ呪文を詠唱する声が聞こえてきた。

「まあこんなものだろう。身体を起こせるか?」

 セルマは左腕に力を入れてみて違和感がないのを確認すると寝台に手をついて……そこで気がついた。

「…………っ!」

 なんだか自分の視界には肌色がやけに見える。しかも肌はなにもまとっていない感覚。これはどう考えても服を着ていない。

「服っ!」

 セルマはどうにかそれだけ口にできた。男は焦るセルマを見て笑っていたが、どこからか持ってきたらしい衝立をセルマの周りに立ててくれてそこから出て行ってくれた。

「自分で着替えられるようならここに服を用意しているから着ろ」

 ばさりと投げ込まれた服を受け取り、セルマは素直に着ることにした。
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