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星の島で恋をした【完結】
第2章 《二》
     *

 妙な感覚にセルマの意識は浮上した。

 左肩がひどく熱くて、それなのに気持ちがいい。さらに全身に知っているけれど微妙に違う高ぶった感覚。

 剣を手にして戦っているときの高ぶりに似ているけれど、もっと根源的で甘ったるいもの。身体の芯からとろけていきそうな……。

 とそこでセルマははっきりと覚醒した。

 そうだ。星の島について……。

「……──っ!」

 目を見開くと、左肩に金色の光が乗っかっていた。

「あ……、な、に……?」

 セルマの声に金色の光が揺れた。さらさらと音を立てて揺れたそれは、どうやら人の頭だったようだ。

 ──人の、頭っ?

「え……」

 それが人の頭だと認識した途端、セルマは自分がとんでもない状況にあることを知った。

 ここはどこだか分からないけれど、屋根のある場所で、だけど外の景色は丸見えで──。

 セルマはどこかにうつ伏せで寝かされているというのは、肌にあたる感覚と、潰された淋しい胸で分かった。

 しかし、どうしてこんなにも敷布の感覚が分かるのだろう。しかも背中にはだれかが乗っているようで、熱を感じた。

 ──ちょっと待って。わたし、もしかしなくても、なにも着ていない?

 そのことに気がついたセルマは目を見開き、身体を起こそうとした。

 しかし、背後に乗っているだれかはセルマを起こすまいとして、ぐいっと傷口のある左肩を強く押してきた。

「ぅぁぁぁっ!」
「ふむ、押すとやはり痛むか」
「な……に、を、するのっ」

 セルマの声に金色の頭が揺れ、そして視線が合った。

「あ……」

 髪の毛と同じ金色の瞳を向けられ、セルマは固まった。

 まるで星の化身のような──男。

「静かにしていろ。治療をしている」

 囁かれた声はセルマの耳から腰に響いた。

「ぁ……ゃぁっ」
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