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インスタントコーヒー
第1章 トラウマ
運動会から一ヶ月くらいたってから、両親の喧嘩が増えた。
深夜に大声で何やら言い合いをしていた。
そしてそのまた一ヶ月後くらいにお父さんの物が全て家から消え、お母さんがポツリと
「今日からお母さんと2人で暮らすからね」
と言った。
運動会前日のあの光景が蘇る。
わたしは何も返答できなかったが、子供なりに、色々と悟った。
それからというものお母さんは人が変わってしまった。
急にヒステリックになるようになり、ご飯もあまり作らなくなった。家事もほったらかすようになった。
私たちの生活はめちゃめちゃになった。
明らかに変わった私たち親子を心配したユイとタクには本当のことを話した。この2人だけがわたしの心の拠り所となった。
毎月お母さんが買ってくれる雑誌の、少女漫画みたいな恋に憧れていた。
いつか、自分も恋したらこんな風になるんだ、
大好きな男の人にギュッとされて、たまにチューもされて、
ドキドキする毎日。
だけど、違った。
恋愛なんてしたっていずれは裏切られて終わりなんだ。
辛いだけ、傷つくだけ。
私は小学生ながら、恋愛の、漫画に書かれてない部分を知ったのだった。