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インスタントコーヒー
第11章 そして

目が覚めたら、先生はキッチンにいた。

「目、覚めたか。」

先生はテーブルに
ホットコーヒーを並べる。

「ごめん、砂糖とミルクないんだけど…」

先生ははにかむ。
きっと先生も初めて私を家に呼んだ
あの日を思い出している。

「私ももう、ブラック飲めます。
もう子供じゃないです。」

私がふくれて言うと

「そうか、そうだよな、6年たつもんな…」

先生は笑った。

「俺さ、あの時俺がアヤを支えてるって
思ってたけど、逆だったんだよな。
俺、お前がいなかったら多分元カノの問題も
解決できなかったしきっともっと
色んな人を傷つけてた。
それに俺、あの時本当に幸せだったしな。」

あの時のありがとう、の意味を
ちゃんと知る。

ゆっくり口に含んだインスタントコーヒーは
やっぱり苦さばかりが強くて
あの時と同じ

思い出の味がした。






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