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花咲く夜に
第6章 決心
昭恵も立ち上がり一礼した。
『………こちらこそ、
めぐるちゃんには良くして貰ってるよ。
今回のことは…
あたしが気付くのが遅かったんだ。
ごめんなさいね』

と項垂れた。


『ちょっと貴斗さんと話してもいいですか?』


『ああ。
年寄りは避けておくよ(苦笑)』と去っていく。


貴斗は、
座ったまま下を向いていた。

『よぉ、
変態雇い主の貴斗さん』

『…………ごめん』
慌てて救急車に乗り込んだ貴斗は、作業服のままだ。

『だから冗談だよ。
アンタが謝ると気味悪ぃから止めてくれよ。
大病じゃないんだしさ!』



『盲腸じゃなくて…………………『アンタの昔の話か?』


話し辛く言い淀んだ貴斗に、
拓海のセリフは諸に的中した。


『…………めぐるから聞いたのか…………?』


『まぁな、悪いけど。

で、それで何かあったわけ?』


『………特にない』


『じゃ良いんじゃないの』

『………気持ち悪いかな、やっぱり俺』


『何がだよ?おふくろさんとのこと?』


『………うん。
めぐるが、昨日から何か違う気がして』


『特にないっつったくせに。避けてるのか?
めぐるがアンタを』


『………弁当作ってくれた』


『………じゃあ良かったじゃん。何が不満なわけ』


『不満とかじゃなくて…。俺……
昔母親と……色々あってさ。
母親に対して………
恋愛感情みたいなものがあった時期があるんだ』
貴斗はめぐるの救急、
手術―――といきなりのハプニングで混乱していた。

ポロリと、
誰にも打ち明けたことのない〔秘密〕を拓海に吐露した。


『………母親ってアンタのだろ?
血は繋がってんのか?』


『母親とは繋がってるんだ。
中学生の時に一時期だけ、恋愛感情みたいなのがあった。
……これはめぐるにはどうしても言えなかった。
異常だし』


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