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花咲く夜に
第8章 旅立
足元に気をつけながら。

左手で懐中電灯を持ち、
右手はハンドタオルを掴んで………



ゆっくりゆっくり登って行った。。



頂に着いて、
桜の木を見上げた。


懐中電灯で照らす。


新緑の葉が茂っていた。


(あんたのこと、好きで好きで本当に守りたいってヤツが居るかもしれないだろ)


(いないもん。
あなたがなってよ)


めぐるは、
貴斗と出逢った瞬間を思い出す。



桜の木の幹に掌を充てた。

『守ってよ〜〜〜……
貴斗……』

言葉を溢したら、
止まらなくなった。


『何で返事くれないの?赤ちゃんのこと、嫌なの?
帰って来てよぉ………話聞いてよ…………
貴斗ぉ』

その場にしゃがみ込んだ。
声をあげて泣く。

『何よー、貴斗のバカー!好きだって言ったくせに〜〜〜
無責任男!
ばかやろ〜〜〜!早く帰ってきてぇ〜〜〜』


『………バカで悪かったな』背後でザッと足音がした。

めぐるは、
『…………へ』
泣き止む。。


『…ごめん、遅くなった。指輪、作って貰ってて』


振り返ると、
茶色い髪がふわりと揺れた。
『あとスマホ落として割っちゃて、
返事もTELもできなくてさ』
聞き慣れていた声。



貴斗が、
座り込んで泣きじゃくるめぐるをぎゅうっと抱き締めた。
『ごめん。ごめんな。
不安がらせて、ごめん』


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