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花咲く夜に
第8章 旅立
めぐるは、
懐中電灯を持って夜道を歩いた。


畦道(あぜみち)ではカエルが大合唱をしている。


涙が流れて止まらない。


手の甲で拭いながら、
スタスタ歩く。



夜風がふわりと吹いた。

夜8時前。

まだ空気が暑い。



めぐるは、
『皆勝手なこと言わないでよぅ〜〜〜………』
と泣きじゃくりながら歩く。



暫く歩き続けた。

『ひっく………ひっ…………』

ポケットを探ると、
布に触れた。

『……貴斗のハンドタオル』

緑色のハンドタオル。


(これで、泣いてる顔を拭いてくれたっけ)


短い期間の出来事なのに、何年も前のことのように感じる。。

『だって………
もう、居るのが当たり前になってたから………
―――あ』


泣きながら歩いていたら、いつの間にか醍醐山桜がある山の麓に来ていた。



桜の時期以外でも街灯が点いている。


めぐるは、
山を登って行く。
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