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花咲く夜に
第3章 興味
眠りの中で、

めぐるは素足のまま〔誰か〕
を追いかけている。


2つの白い影が揺れて、
女性の笑い声が優しく響く。

めぐるは掴まらないその影を必死で追った。


『……かないで……』
行かないで。

そう言葉にしたいのに、
声が出ない。


影がゆらゆらと揺れて、
止まった。
――ああ、やっと止まってくれた―――……
安心して片方の肩に手を掛けようと手を伸ばした瞬間………


影は、
様相が明確になる。


―――雄大―――、
そして隣には優菜がニコニコ笑って立っていた。
『何でしょうか?
どちらさま?』


めぐるは強烈に落胆と絶望を感じた。足元が地割れをし、暗闇に逆さに堕ちた。


『………やっ………』


ハッと目を開くと、
汗びっしょりで貴斗の家の荷物の少ない自分の部屋が薄暗い中で見えた。


『………ああ、夢………』はーはーと肩で息を整えた。


敷き布団から上半身を起こし、
酸欠かのように深呼吸した。

(ビックリした…………)

時計に目を遣ると、
午前5時。


もう起床時間間近ではある。

『夢かぁ………』

呟くと、
涙が滲んだ。


悔しかった。
仕方ないことではあるけれど、
夢と現実の間に投げ出されて……ただただ悔しさを感じて涙を流した。


暫く嗚咽した。

涙を流し、
貴斗が拭いてくれた緑のハンドタオルで頬を拭う。


(泣きたいときは、
泣けばいい………
泣けないと本当に辛くなる)

リフレインした言葉に後押しされるかのように、
暫く泣いた………


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