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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第7章 おなにぃ中毒
目覚めたら、そこには抜け殻だけが残ってた。
まだ微かに薫る彼の形を象った膜は、私の寝相のせいだろう原因で、折角のプロフェッショナルな仕立ても容赦ない程に皺を寄せて不機嫌なご様子に成り変わり果てていた。
それは仕事に追われて眉間を波立たせる彼の表情に極近い。
昨夜のギャップに思わずにんまり笑いが込み上げてしまう。
そして、私はこれの持ち主の姿が見当たらないと分かるや、大事に大事に、それを両腕に包み込んだ。
羽衣は、元の持ち主に返さなければならない。
お母さんが読み聞かせてくれた昔々のお話でしばしば頷いた記憶が蘇る。
でも、天女に恋した青年は、結果失恋したんだっけ?
定かではない物語の最後に、どうしても引っかかりを覚えたけど、彼はそもそも女性ではないし、天女程整った顔立ちでもない。
だけれど、心は天女様より間違いなく美しく、聡明で、きっと誰よりも純粋なはず。
一体どうすれば、清廉潔白な彼の心を手に入れられるのだろう。
考えて、やっぱり無理だなと諦めた。
だってあの人は既婚者だもん。
でも、なんでだか、恋の尻尾を手放せない。
どうしてもこのもぬけの殻を抱き寄せてしまう。
こんな先がない未来、辛いだけなのに。
彼を想うと躰の疼きが込み上げてきて抑えられなくなってしまうの。
昨夜のあの気持ち良さ。
忘れられるはずない。
彼がすっぽり収まることが出来るようオーダーメイドされた膜からは、ただひたすらに甘酸っぱい香りが滲み出ていた。
私の情欲を誘うように。

「八反田さん……どこ行っちゃったのかな?」

ソファの上、躰を起こしていた私は、Tシャツだけを纏っていた。
確か、眠る前の記憶では、きちんとブラウスだけは着ていたはずだけど……。
一度着たことのあるダンガムのあのTシャツがまた、私のおっぱいの上でガンソードを構えていた。
それはつまり。

「八反田さんに、おっぱい見られちゃったってこと、だよね……」

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