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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第9章 それは禁断の果実
月末は三人でsilverのコンサートに向かった。
るかちゃんとくるみちゃんと私、三人で出掛けるのを心から待ち侘びていた。
るかちゃんは応援グッズの最強フル装備をこさえて最初からクライマックス。
くるみちゃんは、内緒だけれど彼氏の応援を客席から出来ることを終始嬉しそうにソワソワしていて、なんだか幸せそうだった。
私はといえば、そんな二人と共に貴重な思い出を作れることが堪らなく嬉しかった。

友達っていいなって、改めて感じたのだ。

コンサートが始まるとそれはもう感動の渦。渦。渦。
光と音の物語に包まれてまるでファンタジーの世界に紛れ込んだ、そんな気にさせてくれる不思議の国のパレードみたいだった。
三人の王子様達は、海に咲く花畑みたいな会場いっぱいの光を振るお姫様達に愛されて、その一つ一つの満開の笑顔に真心を精一杯送り返していた。
歌って踊って盛り上げて、彼女達の愛でより輝いている彼等がカッコ良かった。
ああ、私もいつかこんな風に光を放つ存在になりたい。
誰かの夢の片隅に立つ女神様になりたい。

畏れ多くも、強く強く思った。

……なのに。

なのにだよ。

「いやぁ、まさかみゆりちゃんとるかちゃんが未成年だなんて知らなかったよねー」

なのになんで今、knifeさんがシャンパングラスを片手に私達を嘲り笑ってるというのか。
彼が憎くてたまらない。
だっておまけに私いま……とても……うぅ。

「ぎもぢゎりゅぃ……」

「大丈夫!?みゆり……トイレ行こう!吐いたら楽になるから……」

「うん……」

「海霧!あんたみゆりとるかの飲み物にアルコール混ぜたでしょ!」

「僕は知らないよー」

「絶対うそ!!!!」

「だって見られたんだから仕方ないだろ?みゆりちゃんはともかくツインテには忘れて貰うしかさぁ。まあそう怒るなって!」

からからと鐘を鳴らしたみたいに笑いこけながら、knifeさんはシャンパンをぐっと飲み干した。
あの人、私達がまだ高校生ってこと知ってるくせにわざとやったんだ!

初めて逢ったあの日となんら変わらぬ彼のふてぶてしさに愕然とした。
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