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遅咲きのタンポポ
第2章 まさかの出会い
膝をついてしまってストッキングに穴が空いたのが目に入った。
自分にも非があるとはいえ、蹴られた上におろしたばかりのストッキングに伝線なんて。
今から電車に乗って帰るのに。
心折れそうになりながらなんとか立ち上がろうとした時、再びバランスを崩して転びかけた。

そこを、ガシッと誰かが抱き抱えて助けてくれた。

驚いてその人を見ると、
私を蹴った男の人だった。

「ごめんなさい!前見てなくて、
蹴っとばしてしまって」

「あ、いえ、私も急に屈んだりしたので…
あ、あの、助けて貰って何なんですが、離して貰えますか…?」

「あっ…」

その人は慌てて私を離そうとしながら、
私の足元を見た。

「離すけど、大丈夫?腕で良かったら掴まって?」


私はその言葉に自分の足元を見て愕然とした。

右のヒールが折れてた。

それでバランス崩したんだ…

踏んだり蹴ったりってこういうことかな…
ホントついてない。

片方のヒールが折れた靴でどうやって帰ろう、
とため息を吐いた時。

私に腕を貸したままだった男の人が一緒に居た人に何かを話して、その人たちは店の中に入っていった。

「もう帰るところ?だったら送るから、このまま掴まって歩いて。」

送るって…と思いながらも仕方なく、腕を借りて右だけ爪先立ちで歩く。
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