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遅咲きのタンポポ
第12章 告白
運転席に武井さんが座り、持っていたバッグから何かを出す。
眼鏡のケースだった。
眼鏡をかけるとケースをまたバッグにしまい、バッグごとシートの後ろに置いた。

眼鏡、かけるんだ…眼鏡をかけた顔もカッコいい…

「何?」

じっと横顔を見つめる私の視線に気づいたの か、武井さんがこっちを向いて小首をかしげる。

「眼鏡、かけるんですね…」

「運転するときだけね。必須条件になるほど目が悪いわけじゃないけど、この方が視界がクリアになって安心できるんだ。」

「そういう、ものですか…」

車の免許を持っていない私にはよく分からなかった。

武井さんがリモコンでシャッターを開け、エンジンをかけると、ベンツは滑らかに走り出した。

走りながら、なんとなく右側の武井さんを見ていて、ふとベンツって、左ハンドルなんじゃ?と思った。
そう思って聞いたら

「右もあるよ。俺左ハンドル運転したことないし。だいたい高速は今はETCになってるから料金所も気にしなくていいけど、駐車場の精算とか右側じゃない。左は日本では不便だよ。 」

確かに。

でもそのすぐ後、

「ゴメンね、カッコいい車をスマートに乗りこなせる男じゃなくて。」

と笑う。

「全然!十分カッコいいですよ!!眼鏡も似合ってるし!」

私の反応に武井さんはプッと吹き出した。

「やっぱり可愛い。」
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