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遅咲きのタンポポ
第12章 告白
武井さんは眉間に皺を寄せて、今まで見た事ないくらい辛そうな顔をしていた。

「彼女と別れて凹んでたら、友達も気使って、紹介とかしてくれたんだけど。
俺はさ、自分で言うのも何だけど、親がそこそこの規模の会社やってて、そこでこの年で役職にもついてるから同年代よりは収入もある。
芦屋のデカい家に住んでて、見た目だって、背も低くないし、禿げても太ってもいない。付き合う男の条件としては悪くないと思う。」

悪くないどころか。
見た目も何もかも良すぎるくらいですけど?
まぁ、でもストレートに俺ってカッコいいでしょって言われたら引きますけど。

「でもそんなのは、俺ががんばって手に入れたモノじゃない。会社はひい爺さんの代からだし、今の規模まで育てたのは爺さんと親父で、俺は一切タッチしてない。
家も親の家で、俺が建てたわけじゃない。役職だって、社長の息子だからって与えられたもんだ。
全部、武井祥悟って人間に最初からついてる付録なんだよ。だけど、友達からの紹介ってだけで、もう社長の息子って先入観があるじゃない。
女の子はほとんど、付録の方に目が行っちゃって、俺自身のことなんかどうでもいいように見えるんだよね。もうこのまま、俺の中身に興味持ってくれる子なんていないんじゃないかって思ってた。
そんな時、沙織ちゃんに会ったんだ。」
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