この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
素直になれなくて
第11章 エピローグー田坂の想いー
何なんだ……チクショウ……腹を刺されて動けない。
次の瞬間、浅井さんの顔が見えた。
「浅井……さん……悠里……が……」
浅井さんは、泣きそうな顔をすると、頷いて悠里の元へ走って行った。
救急車の音。
人の話し声。
あ、そう言えば、婚約指輪。
大丈夫……ポケットに入ってる。
悠里……喜んでくれるかな。泣いちゃうかな。泣き虫だからな。
そんな事を考えているうちに、周りの音が遠くなる。
辺りが暗くなっていく。
待って……悠里にまだ伝えたい事が……
動かなくなる唇を何度も動かした。
悠里……悠里……悠里……
異常に寒かった。が、それも次第に感覚が薄れていく。

俺は、死んだのか……

ふと気がつくと、悠里の顔が見えた。
笑顔で涙を流して、俺を見下ろしている。

俺は……悠里が産んだ子供の中にいた。

悠里は、何故か1人だった。
まだ、赤ちゃんの俺に向かって、悠里はいろんな気持ちを伝えて来る。
俺の事を大好きだった事。
俺の子供が出来て、嬉しかったこと。
俺の代わりにしない為に、浅井さんの元を去った事。
そして、浅井さんの幸せを何より祈っている事。

でも、浅井さんは……悠里の側に居られなくなって、大丈夫なんだろうか?
あんなに悠里を愛していたのに……
悠里のこと、大好きだったのに……
浅井さん、寂しいだろうな……
あれ、可笑しいな。
ライバルだった筈なのに。
ヤキモチ妬いてた筈なのに。
何故か、悠里の隣に浅井さんが居ないことが、俺は納得出来ずにいた。

悠里は、日に日に痩せていった。
仕事しながら、小さい俺の世話をするのは大変そうだった。
俺は、歯痒かった。
早く大きくなって、悠里を守れるようになりたい。
そんな風に思っていた。

月日が流れ……
悠里に連れられて、いつもの公園に行った。
ふと、悠里を見る。悠里の後ろに懐かしい人が現れた。
浅井さんだ!
やっと来やがった。遅えよ!
俺は心の中で叫んでいた。
浅井さんが、俺の方に歩いてくる。
俺は浅井さんをジッと見つめていた。
次の瞬間……浅井さんが呼んだんだ。
「……田坂……」
俺は、浅井さんに向かって走った。嬉しくて、ただ嬉しくて……
浅井さんは、小さくなった俺を優しく抱きしめてくれた。
そして、俺のパパになると言った。
/147ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ