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夜は、毎晩やってくる。
第8章 届けて欲しいの 前編
もしかしたら、配送員の顔写真とかが載っているかもしれないと無意識のうちに願ったのかもしれない。
シロウマオウジの宅配サービスのページはすぐに見つかった。
残念ながら、今日家に来た王子様のお写真は掲載されていなかった。
写真は使わずに、少女漫画風のイラストで、サービスの概要が説明されていた。
「たったひとり、貴女だけの元に王子様が駆けつけます」
というキャッチコピーを見て今更ながら気づいたのだけれど、確かに、王子様は馬に乗って、それだけでやって来ていた。荷車も何も曳いていなかった。
私だけのために、照男のニョボジを届ける為だけに、やって来たのだ。
嘘でしょ、たったひとつの荷物にどんだけコストかかってるのよ!
案の定、目の玉が飛び出るようなお値段が書いてある。
照男め、あたしを驚かすだけの為にこんなにも無駄なお金を使って……。
でも、ちょっと嬉しいかな。
ほっこりする気持ちもある。
あたしも、そろそろちゃんと考えないと……。
なんてことを思ったとき、値段表の下にある「スペシャルサービス」という欄が目に留まった。
――貴女の元に参じた王子様による、配送以外のサービス。内容は届いてからのお楽しみ――
なんだこれは!
届いてからのお楽しみって……一体何をしてくれるのかしら!?
あとから死んでしまいたいぐらい反省したのは、このとき、あたしはちょっとエッチな気持ちになってしまったことだった。
淫らな想像が一瞬で沸き起こり、アソコがジュンッと潤う。
やだ、どうしてそんなことを考えてしまうの……。
あたしには照男がいるのに。
ベッドの中だったのもいけなかった。
指が、自然にスルリと下着の下へと潜り込む。その後は……。
切なさを癒すあの行為だ。
「……はあっ、アアッ……んっ……くっ……あ、あ……王子様……あたしの王子……様」
ひとしきりふけって、気持ちが落ち着いたあと、私は配送業者を選べるお取り寄せサービスを探し始めていた。
会いたい。もう一度……あの人に。
ただ、その一念だけで。
《届けて欲しいの ……つづく》