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飼育✻販売のお仕事
第1章 逆説的冤罪



「──…」

 男の口が、第三者の名前を呼んだ。

「っ…………」

 ひとえに生理的な嫌悪をきたしていた女の目に、刹那の情念が覗いた。

 驚愕、動揺、跼蹐──…愛念。


「久し振り」


 何故、……。


 名づけ難い感情が、女の唇を慄かせた。


「この女、貴方の持ってるこれ、大好きなの……」

 物陰から出てきた第三者、男と懇ろな距離を匂わす女が、しみにまみれた手を労った。

 男の手に握ってあった黒い性具が、無慈悲な音を立て出した。


 ヴィィィン……
 ヴィィィィィ……ヴィィィィィン…………


「ぁっ……っ」


 男の恋人が、今しがた召使でも見る目で見下ろしていた女体に屈んだ。唇を塞ぎ、舌をこじ入れてゆくその様は、初対面の女を辱める第三者のそれとはほど遠い。

「ふんっ、はぁっ、んん……」


 罪悪の念にすぼまるような双眸が、男の恋人に何かしらを問う。淫らな熱が、辱めの対象となった女の口舌を封じていた。


「私の味わった苦痛を……少し体験させてあげるだけ」


 女の胸を飾った果実は、白い指先に触れられるや、みるみる乳首を主張し始めた。

 高慢な第三者の呼び水は、女を確実に綻ばせてゆく。



「いや……いやっ……あっ、あああぁぁぁっっ…………」
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