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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第19章 秋の夜長に…♡



「あんま興奮すると熱あがんぞ」

「っ!……ウルサイ…ケチぃ」

そう図星をついてくる彼の溜息に、アタシはみるみる赤くなる顔を隠すように倒されたシートの上、ふてるように彼に背を向けると目をギュッとかたく瞑った。


病人には優しくしなくちゃいけなのに……

ふて寝してやるんだから……

それからしばらくブツブツと不機嫌の呪文を小声で唱えながら、暴走して昂る感情のまま閉じこもるように瞼の内側の暗闇の中にいた。

するとそこにふと、頭に優しい感触が降りてくる。


「寝とけ…あんま心配させんな…」

「………!!」


そしてそれはポンポンと髪のうえを優しく数度弾み、温かくそっとその場に留まる。

アタシは背を向けたまま、ふて寝続行を決め込もうとしたけれど⋯


ズルい!!それはズルすぎるんじゃないか。


"言われなくても寝るもん"

……悔しいけれど、このセリフを最後まで言えたかどうかなんて定かではなかった。

優しい声色と大好きなその心地良い安らぎに一気に気が緩んで。それを自覚した途端、押し寄せてくる睡魔⋯。

そこに車の振動も相まって抗うことなんてできるわけもなく、すぐに私の意識は温かい沼の底へ沈むように落ちていく。

⋯触れられた温もりに、自分の温もりを重ねて──。





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