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他人の妻、親友の夫
第6章 超える一線
「出来れば妻を……抱いてやってください……」
「えっ!?」

思わず秋彦の顔を見る。

「妻は……理依さんは、私しか知りません……」
「それはっ……そう、なんですか……」

思いもよらぬ話の展開で、もはや聞き手に回る以外手立てがなかった。
清廉に見える理依が夫以外との経験がないということは、それほど意外でもない。しかしああいった趣味の持ち主なら、偏見かもしれないが、沢山の男性と関係を持っているものだと思っていた。

「親友の夫である海晴さんなら、安心して任せることも出来ます……」

何がどう安心なのか、さっぱり理解できなかった。

「秋彦さんは……平気なんですか?」
「平気という言葉は的確か分かりませんが……私もあなたを信用してます」

頭が混乱して、ふらふらしてくる。
熱い湯に浸かり、蒸気を浴びたせいもあったのかもしれない。
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