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他人の妻、親友の夫
第8章 視欲の目醒め
元々いるんだかいないんだか分からない父が居なくなっても、秋彦の生活にはなんの関係もなかった。
しかし母はそうもいかない。
養育費は払われてるとはいえ、生活するためには働かなくてはならなかった。

それまでいつも居てくれた母がいない時間が増えてしまったのも当然の結果だった。

寂しくないと言えば嘘になる。
しかし彼は勉強に打ち込むことでその孤独を埋めていった。


「わぁ……凄い……秋彦は賢いね。お母さん、嬉しいわ」

通信簿を見せると母は満面の笑みを浮かべ頭を撫でてくれた。

「体育以外はみんな優でしょ!!」

秋彦も得意気になってそう言う。
母は離婚前より少し老けた気がした。彼を撫でる手のひらも以前に比べてごわごわしているようにも感じた。
それが幼心ながらにも悲しかった。
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