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他人の妻、親友の夫
第11章 享楽の果て
二人の世界に没頭していた理依は、このときようやく志步がいつの間にかいなくなっていたことに気付く。

『ありがとう、志步』

咽をこくんと鳴らして嚥下しつつ、後輩に感謝していた。
秋彦の勃起不全がこれで解消されたとは思えないが、それでも一筋の光は見出せた。

「理依さん……」

秋彦が手を伸ばし、頬を優しく撫でた。

「あなたを悦ばせることが出来なくて、申し訳ない」

彼の目には憂いが滲んでいる。

「何言ってるの。私はいつも秋彦さんに悦ばせてもらってる……」

夫の胸に顔を埋めて、深く息を吸う。
慣れ親しんだ落ち着ける彼の香りで鼻腔が一杯になった。

秋彦の隣にいるから、自分は安心して生きていける。
そう心から感じていた。

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