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他人の妻、親友の夫
第4章 未達の悦び
「秋彦さんっ……」

ドアを開けると理依は動揺した顔で出迎えた。
雷で怯える妻には申し訳ないが、可愛く思えてしまう。

「ただいま」
「おかえり」

その瞬間にひときわ大きな雷鳴が轟き、「きゃっ!!」と叫んだ理依は秋彦に抱きつく。
絶妙なタイミングの雷に、彼は思わず感謝さえした。

「遅くなってごめん」

腕の中で震える妻にキスを落とす。

「ううん。ずいぶん早く帰ってきてくれてありがとう……お仕事は大丈夫だったの?」
「ああ。まだ学会までは時間もあるし、学生が残ってくれているから」

理依には内緒にしているが、秋彦は雷雨が大好きだった。
雷が鳴ればいつだってこうして可愛く甘えてくれる。だから密かに彼は雷を期待してしまう癖があった。


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