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よくある恋愛モノ 〜おあずけ〜
第9章 身も心も一つに−−−



三月の初め、陽菜乃はいつになく暗い声で美和に相談を持ちかけた



「どうしたの?」



陽菜乃の不安げな表情に美和の中にも悪い予感が過る



“彼氏と何かあったのか……いじめとか? それなら風紀委員の私に言うのも納得できるし……”



「お兄ちゃん……国立の前期落ちちゃった……」



自分の予想の遥か上を言ったその事実に、美和の表情が固まる



「落ちたって……え? 凪が?」

「それに、部屋から出てこないの……」



学年最優等生の不合格

そしてあの時の自分の言葉



“凪なんて落ちればいい”



「でも……私立抑えてあるでしょ?」



いくらなんでも、とすがるように言った美和の言葉を、陽菜乃は首を振って否定した



「お兄ちゃん馬鹿だから……無謀だから……っ」



後は国立の後期を残すのみ。



“もしそれも駄目だったら?”



美和の中には不安と嫉妬と、自分への怒りがぐるぐると渦巻いていた−−−







コンコン



三月二十日、正午直前−−−



「美和、どうした?」



凪は突然の訪問者に目を見張った



「突然ごめんなさい……今日、発表だって聞いて……」

「一緒に見たいって?」



俯く美和の頭に冷たい声が降り注ぐ



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