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第8章 episode 0 ー北川sideー

今この部屋で飯を食っている事務の辻本は、密かに俺が狙っているコでもあった。

顔も可愛いし、スタイルもそこそこ。
何より声がいい。脳天から出るようなアニメ声じゃない。ああいうキンキンした声は嫌いだ。
なんて言うか、彼女の声は聞いて落ち着く。
仕事上接点がなく、あまり話す機会がないのが残念だ。

性格はしっかりしてるし、ミスも少ない。営業の指示ミスなんかも指摘はしないまでも疑問に思うことは多いらしく、都度確認が入るから、担当の井上なんかはそれによく助けられると言っていた。

俺の担当の大崎は、なんと言うか、かなり天然だから、そう言ったところは期待できない。
いや、指示ミス、連絡ミスは営業本人の責任だから事務の精度どうこうってのは言い訳に過ぎない、とわかっちゃいる。わかっちゃいるけどこうも違うか？と不公平に思うことがない、といえばそれは嘘だ。

大崎も悪い子ではないんだけど、正直担当替えて欲しい。担当が自分で選べれば、仕事のパートナーとして、辻本を指名する営業はかなり多いだろうが…