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瞳で抱きしめて
第2章 抱きしめたい
ある日の散歩道。


光と樹理は、二人が初めて出会った神社にいた。

ここは散歩の折り返し地点。二人はとりあえずこの神社をゴールにして、毎日色々な道を歩いた。



「樹理さんもよく来てたんですか?」



朽ちかけたベンチに二人ならんで腰を下ろしながら光がたずねた。



「あの日━━━まさか自分以外に人がくるなんて思ってなかったから。夢でも見てるのかと思いました」



「確かに人に会ったことは滅多になかったけど、私はよく来てたよ。ていうか、散歩では毎日ここを折り返しにしてたから…来ない日の方が少ないと思う」


「そうなんだ」


「光もよく来てたの?」


「小さい頃はよくここで遊んでいました。この頃は…殴られた後の休憩場所」



クスリと笑った光の頭を、樹理は突然くしゃりと撫でた。


「……!!」



不意打ちにビックリして、一瞬にして赤面したことが分かった。

光はあわてて髪で少しでも顔が隠れるように下を向いた。

そんな仕草を気にするでもなく、からかうでもなく、樹理はもう一度光の頭を撫でるとポンポンと軽くたたいて手を離した。



「もうそんな休憩場所として来ることはなくなったね」


「はい…」


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