この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
口琴
第14章 診察
中條家の日本庭園の木々も少しずつ紅葉し、一段と趣を深める初秋。

松岡は、暫く振りに中條家へ向かった。

「こ、これは松岡先生。お久しぶりでございます。今日はどのようなご用件で?…」

突然の訪問に、北川が少し慌てた様子で訊ねた。

「あぁ、前々から中條に頼まれていた物が、漸く完成したんでね。少しでも早く届けようと思って。中條は居るのかい?」

「あ、はい。いえ、あ…あのぅ…その…只今お坊っちゃまは…その…」

「ん?どうした?居るのか?居ないのか?」

「あ、はい。確か蕾お嬢様と離れにいらっしゃるかと…」

「あ、そう。では行ってみるよ」

「あ、先生。今はちょっと…その…お取り込み中かと…」

「…なるほど…そう言うことか…。フフッ。ちょうどいい。コイツが役に立つよ」

手にしていた、小さな黒い鞄を少し持ち上げて北川に見せると、戸惑う北川を横目に離れへと向かった。

格子戸の前に立ち、松岡は僅かな緊張を覚えていた。中條の少女趣味については、十分理解し、その後始末を何度も請け負ってきた松岡だが、実際に少女が中條に貪られている光景を見たことがなく、少女趣味ではない自分だが、それを見たとき自分がどうなってしまうのかが不安だった。

おそらく今、この家の中では、禁じられた遊びが繰り広げられていることだろう…。

聞くのと見るのとは違う…。果たして平常心を保っていられるだろうか…。

何故か盗人のように息を殺し、そっと音をたてず格子戸を開けて、足音を忍ばせその奥へ進む。玄関の引き戸も鍵は掛かっておらず、滑りの良い引き戸は音もなく開いた。

たたきの小上がりに、そっと腰を下ろす。

真っ昼間だと言うのに、薄暗い玄関は、足元の間接照明が仄かに灯り、下駄箱の飾り棚には、りんどうや小菊、ワレモコウが花器に生けられ、ほんのりと薫る小菊が秋の風情を醸し出していた。

小上がりの上には見事な芍薬が描かれた屏風が立てられ、その奥の襖の方から、微かに漏れるか細い声。

「…ぁ…っ…ぁぅっ……あぁ…んっ…っくっ…」

少女の甘い声と、小菊の薫りが絡み合う…。

松岡の胸は熱く昂る…。

黒い革靴をそっと脱ぎ、足音を忍ばせて襖に近づく。

襖の引き手に指をかけ、ゴクリッ…と生唾を飲み込んだ。

……カコーーン……カコーーン……

鹿威しの音が静寂を斬る。松岡の鼓動も煽られるように高鳴っていた。
/222ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ