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イカせ屋稼業
第10章 〜番外編〜
緋路の家に着いた。


インターホンを押すと、
うちと同様家政婦が通してくれた。



2階の緋路の部屋に向かう。

引き戸を開くと、
「よぉ」とベッドから緋路が手を伸ばした。

「たっくがウチ来るなんて久しぶりだよね?」



拓矢はソファーに腰を下ろした。

「うん。
めっちゃ久しぶり。
脚、痛みは無いの?」



緋路はTシャツにカーゴパンツで寝転がっている。


白い脹ら脛。

体毛がうっすら生えている。

「う〜〜〜ん。
痛くないけど押したら塊があって変な感じがする。
昨日まで全く気付かなかったのになー」


「何を飲み込んじゃってたわけ?」


「針だとさ」


「針?!
あの、裁縫の針?」


「うん。覚えてないんだよなぁ…
何をしたんだよ、小さい頃の俺……
あ、たっく制服のまんまってことは帰ってないの?」

緋路が起き上がる。


「あー……うん。
ちょっと遊んでたから」


「またぁ?
たっく、いつか刺されちゃうよ?
俺みたいに凪一筋になれよ〜〜〜(笑)」

茶化したふうに言う緋路。


後で考えたら、
緋路は手術の不安やら総体に出られないショックやらでわざとおどけていたんだろう。
いつも明るいけど、いつも以上に明るさを装っていたんだろう。

―――なのに俺はカチンときた。


立ち上がり、
ベッドによじ登る。
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