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イカせ屋稼業
第11章 そのじゅう
赤いアザが見えた。


(――――こうしてやる!)


拓矢は、
腰を振りながら上体を屈ませると思いっきりアザを咬んだ。


『うっぎゃああ!!』
翔汰は大絶叫した。






『今のはどっちよぉ?プレイ?本音?』
イージーは思わず小声で呟いた。



(拓、なにすんのっ)

拓矢は咬んだ部分に今度は唇を押しあて、
思い切り吸う。


(…………拓………)
翔汰は拓矢の吸い付きに、思い当たる。
(そっか、背中にアザ残ってるんだ………)



気付くと(ヤキモチ妬く拓矢、
カワイイ………)と気持ちが綻んだ。



(拓!拓矢ってば)
拓矢に話しかけた。


(なに)
拓矢は唇を離した。


くっきりと、
キスマーク――今度は正真正銘の―――がついた。


(もっと付けてよ?
他の撮影の時にはファンデで隠せるからさ)


(………もしかして気付いた?)


(うん。ヤキモチ妬かれて、悪いけど嬉しい)


(………ゴメン……
頭では分かってるんだけど)

腰を揺らしながら、
小声で会話する。


(分かってるよ。
俺、拓矢につけられるんならめちゃめちゃ嬉しい。
吸い付かれたら嬉しくて堪んない。
消えなくてもいい!
こんな嬉しい気持ち、今まで無かったよ……)


拓矢は、
目に涙が滲んだ。

(こんなに愛してくれるひとが、
この世に居るなんて………)


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