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イカせ屋稼業
第14章 そのじゅうに
師橋条と実子云々は信用していないはず。


だが、
幼少期の笑っている自分の写真には少なからず衝撃を受けたはずだ。



昴は、
内偵で〔nine〕に潜り込んでからKANAMEを観察してきた。



彼は絶対に昔の話をしない。


一度、若い新入り男が「KANAMEさんって渋いっすよね!カーゴどこのなんです?
やっぱ昔からファッションも凝ってたんすか?
どのショップで買ってました?」
と無邪気に訊いた。
翌日、新入りの遺体が所沢で見つかった。




彼は何の気なしにKANAMEのファッションセンスに憧れて訊いたのだ。


その時に昴は気付いた。


KANAME自身、過去は〔地雷〕なのだと………………



この業界では笑って話せる過去を持つ人間は皆無と言っていい。セクシー女優だってそうだ。


が、訊かれたからといって誤魔化せば良いだけで、
殺したりはしない。





KANAMEは過去に何らかの拘りを持っている。



愚弄するように、
嘲るように…………
KANAMEの過去をほじくる@きんぱつ屋に、
彼は尋常じゃないほど動揺し怒っている。



(師橋条と実子ということを知ったら、
いったいどうなるのか………………)

昴は裏手にある素泊まり宿に宿を取った。

直ぐ【田河】宅に戻る。






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