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イカせ屋稼業
第14章 そのじゅうに
ホストをしている男に向けられる、

同性からの視線は3つ。


軽蔑か、同情か、恋愛感情か。


一般的なサラリーマンなら尚更、軽蔑または同情だ。

たまに酔った年配者が、
「ニイちゃん頑張れよ!」と言うが、
酔っているからだ。


皆「ああはなりたくない」が本音。


どんな大金が入ってこようが、
真っ当な仕事をして得たいのが大金。



掃き溜め・訳ありの者が就く仕事。


そう見られるのが当たり前だったKANAME。

高梨想のように介抱しようなんて人間は初めてだった。

だから興味が湧いた。

偽善者か、
単なるお調子者か?

それとも男が好きか。



_____どれも違った。

婚約中の彼女がいて、
商社に勤めているごくごく一般的な男だった。


KANAMEを疎う訳でもないし、
逆に構う訳でもない。諭さないし説教すらしない。



『暇な時に遊びにきなよ、
俺仕事ばっかで友達いないんだ』と笑いながらこの部屋の場所を教えてきた。


_____以来ずっとだ。

ずっと、
KANAMEは想を思っている。


彼が結婚しても子供が産まれても、変わることなく。


指一本触れられないのに。




『そうっすかね?
忘れたけどなぁ、昔のことなんか』

ズズ………とコーヒーを啜る。



『はは、了はそうかもな。
ダメだね、俺は年食った証拠だな』



高梨想は29歳。


10歳違う。


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