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イカせ屋稼業
第14章 そのじゅうに
_____________________


遺体に布が掛かっていた。


霊安室で、
KANAME__了__は無言の師橋条と対面した。

『………………………………』
椅子に腰をかけ、
腕を組んだ。師橋をじっと見つめた。



手錠がガチャリと鳴る。





『あんたは……………………
誰なんだ?』


師橋と了だけの霊安室。


『もしかして…………………
〔親子説〕はガセじゃないとか?』


師橋は一言も喋らない。

ピクリと動くことも………二度とない。


『どっちでもいいよな?今さら。

あんた言ったじゃねぇか………………

「いつかお前に後を任せたい」
「いい目をしてる」
って。

あれも嘘か?』





『_____黄色いTシャツの俺はどうだった?

あんたを認識してたのか?

もしかしたら本当に……………』



了はそこで言葉を止めた。



もしかしたら、なんて好きじゃない。

もしこうだったら。
こうであれば。


タラレバは俺は必要ない。

特に、昔のことは。




突き詰めて答えを出すのは苦手なんだ。


きっと、あんたと同じ。





___入り口ドアがノックされた。
警察官が顔を出す。
『佐嘉原。
お客さんだ』




『_______一人にしてくれ。

あと、
5分だけでいい』



振り返らずにそう言った。



しかし……………
肩にフワッと何かが絡まる。


了は身構えて振り向いた。

椅子がガタン!と鳴る。



『________……………
何で言わないんだ…………』

想は、
了を抱き締めた。



了は呆気にとられる。
『____想さん、何でこんなトコにいるんだよ…………………?』



『昨日様子がおかしかっただろう。

君の事務所を今朝訪ねた。

____ひとこと、言ってくれよ』





『いや……………、
あんたは普通のサラリーマンだ。
それに……………
家庭だってある』
戸惑いながら、了は話す。


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