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イカせ屋稼業
第14章 そのじゅうに
『だから何だ?!

お前が泣きそうな顔を隠して、
笑って出て行ったのを黙って見てろってのか?

____了、他のことは関係ないよ。
それならば最初から君と関わってないし、
わざわざ仕事場をマンションで借りやしない』




了は唖然とした。


手は自然に想の背中を掴む。



この人……………

今何て言った?

わざわざ仕事場をマンションで借りた…………?




それって。

もしかして………………………



『悪いか??

お前が来るのが楽しみだったんだよ!!だから借りた……………

一介の家庭持ちのサラリーマンが、
お前みたいに一人で生きてきた強い人間に会いたいと願っちゃダメか??』





了が崩れてゆく。


タラレバが、
一つだけ現実になってゆく。




『了、本当に辛い時や悲しい時は頼ってくれ…………

俺じゃ頼り甲斐がないだろうけど』


想がギュウッと抱き締める。
強く。


了は、
俺らしくないなと自嘲しながら…………

抱き締め返す。























『ええ?
拓矢、んなことしてたの?百合絵社長のお兄さんの恋人とー??』
翔汰がコーヒーを噴き出した。



『やだぁ、シミになるじゃないの~。
直ぐ拭きなさいよ!翔っ』
百合絵がイヤ~な表情を向ける。


百合絵・甲斐・翔汰に拓矢。

ひとまず落ち着いた事務所内の、
社長室にて座談会(?)である。


『だからスマホがあんなにバイブしてたんだな。記事にコメントが来てたわけだ。
謎が解けた……………』


『なぁ、
拓矢。聞いていいか?
以前言ってた〔伝〕ってのは何だったんだ?』
甲斐が身を乗り出した。



拓矢は少し下を向いた。


『え~と……………。
ま、言ってもいいかな。
うちの母親、ご存じっすよね?』



『ああ。
コメンテーターもしてる…………
曽我アケミさん。2カ月前に「ワード戦法の落とし穴」出したわよね?なかなか面白かったわよ、あの本』
百合絵社長が手を叩く。







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