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第1章 そのいち

腕立て伏せをするように、
リミに覆い被さる。


リミはピンヒールを片足だけ履いたまま、

喘いでいる。



今、
カメラはベッド上で絡む2人を後ろ――……お尻・足元側から撮っていた。



カメラにリミがどう映るかを常に考えながら、

翔汰は腰を揺らす。



翔汰には、
大きく分けて〔2つの役割―シゴト―〕がある。

1つは、
男性目線での絡み。

2つめは、
女性目線での絡み。


1つめは普通のAVだ。
元来男性が右手を使用する時のための代物なのだ。


2つめは昨今需要が高まる女性目線でのsex。。
これは社長曰く、
『5、6年前からで急激に需要が増えた』そうだ。

癒されたい・パートナーとのレスを解消したい・
そもそもsexの経験が無くて方法が分からない―――――――
など女性側の悩みは深刻らしい。



翔汰のような、
『甘い顔で勃起力強大』な男優にはオイシイ仕事ではあった。


―――もっとも、
当人はビジュアルや内容よりも〔お金になる〕からやっているだけで、
sexが好きかというと『フツー』なのである。


この仕事を始めて失ったものは多数ある。