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第1章 そのいち

先ず第一に、
大学入学からずっと交際をしていた彼女とは別れた。

この仕事の話が出る前に、実家であんな事があったから……
その頃にはもう恋愛どころじゃなく、
彼女とは自然消滅という形である。


一般人の恋人が出来るハズもない。



そして、
友人も多数失った。。


大学からの仲間ばかりで、他校のヤツも居たし飲み仲間も居たが………

皆一様に軽蔑の眼差しを向け、
連絡は来なくなった。




翔汰は『いかに外見だけを見られていたか』
実感したのである。


おそらくは、
翔汰がモデルをしているという名声に集まっただけ。

あとは顔くらいか……


ショックを受けたものの、目の前の仕事をこなさなくてはならないため振り切った。


妹だけは心配になって何度かTELをしたのだけれど……

元来のんびりというか阿呆というか、
能天気な妹は『友達がサイン欲しいって言ってるから書いて送ってよぉ〜。
あと、兄ちゃんのスニーカーとかハンドタオルあげていい？
欲しいんだってさー』
と能天気な返事しか返ってこない。


妹も阿呆だが、
友達も阿呆と分かった。。

ただあの能天気さに安堵したのは事実である。
『兄がセクシー男優だなんて、虐められてないのか？』とハラハラしていたのだけれど………


『はぁ？
虐めってあたしがぁ？
あっはっはっは……ねーねーユウリ〜〜〜………（友達らしき笑い声と共に通話が終了した）』

と、
心配する必要はなかったらしい。



幸か不幸か、翔汰は1人この仕事に打ち込むことが出来た。