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君をこんなに愛してる
第9章 白い世界の中で
「さぁ、飲んで」
明るく振る舞おうとする彼の声が、妙に切ない。
正直…スープの中に何が入れられているかわかったものじゃない。勧められるまま飲んでしまうのには多少の抵抗がある。
でも…もう、この一口を拒否することはできそうになかった。
わたしにも、それなりの良心があるらしい。
…ゴクン
「…どうですか」
「ん…、美味しい」
「それは良かった」
素直に飲んで素直に答えていた。
彼は再度、スープをすくってわたしの口に運ぶ。
「…ん」
「君はポタージュに浮かぶ…これ、クルトンが好きでしたよね。これがあるのと無いのとではスープの美味しさが格段に変わると、シェフと話していたそうじゃないですか」
「覚えてないけど…」
「何年も前の話ですからね。当時のシェフから聞いた記憶がある」
確かにわたしは何故かクルトンが好きで。
中学生の時なんか、何でも構わずクルトンを乗せれば料理が豪華になるような…そんなふうに思っていたぐらいだから。