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君をこんなに愛してる
第9章 白い世界の中で
彼にとってはそれだけが、自分自身に向けられた愛のカタチで。
誰も近寄らないこの離れに閉じ込められている事だけが、この人の命に目的を与えていたんだ。
でも…それなら
「…ならどうして奥様は、いきなり貴方を外へ出したの?」
記憶を無くしているらしい、と嘘までついて…。
彼とわたしを病院で引き合わせた。
「それは、日本を発った貴峰絢人が…、もうこの世にいないからです」
「──…」
「…彼は結局、僕の臓器を使わなかった」
「…そう…なのね」
“ 変なの…… ”
あんなに受け入れるのを拒んできたのに。
絶対に生きているって、信じてきたのに。
この人の口から告げられた途端──こうもあっさり認めてしまえるだなんて。