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君をこんなに愛してる
第9章 白い世界の中で
もちろんそんな考えを持った彼等は
息子と同じ《 貴峰 絢人 》の名を僕に与えた。
そしてこの家の中で四年間…
誰の目にも触れずに過ごすように取り計らった。
......
「四年間…ずっと、貴方はこの家に隠されていたの…!?」
「ええ」
「そんなの…っ、酷いわ。奥様達はどうしてそんな事を…!!」
──息子を救うため
ひとえにそれは、我が子を想う親の心が生み出した狂気。
わたしには…そう思えてならない。
「貴方はずっとここに閉じ込められて、外に出たくならなかったの…?」
「…憧れたことはある。テレビ等で外の様子を知っていましたし。……それで両親に頼んだ時もありました」
「外に出たいって?」
「そうです。でも…──」
新鮮なレタスに、フォークが刺さる音。
「でもその時…母にこう言われました。
『 貴方をここに隠しているのは、それほど貴方が、私達にとって大切な存在だからなのよ 』
──…と。だから外には出せないのだと」
「……、大切な存在だから…?」
《 だって、君が大事だから。…
だからこの部屋に連れてきたんです 》
少し前の彼の言葉が、思い出される。
そうっか…
そういう、意味だったんだ…。