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君をこんなに愛してる
第9章 白い世界の中で
きっとこれは、悲しいだけの涙じゃない。
「栞…」
「…ごめ、なさい。今はひとりになりたい…」
「……」
「ご飯はちゃんと、食べるから。ありがとう──」
嗚咽はなんとか我慢できる。
けど涙だけは止まらないから、下を向いて黙っていることにした。
彼はフォークをトレーに置いて、何も聞かずに立ち上がる。
落ち着いたごろに戻ってくると…そう言って部屋を出て行った。
鍵は閉めていったかどうか…わからない。
でも今のわたしには外へ出る理由もないから、どちらでも良かった。
もう少し…もう少しだけこらえるのよ。
そうしたら涙もおさまる気がする。
これは辛い涙なんかじゃあ、なかったから──。
───…