この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
君をこんなに愛してる
第9章 白い世界の中で
───…
涙が零れなくなったころ、わたしはスープをゆっくりとすすった。
すっかり冷めてしまったポタージュだけれど、それでも味は美味しかった。
サラダはわたしの好きなシーザーサラダ。
隣の皿に盛られているのは、鯛と帆立のマリネ。
時々 思い出したように頬を濡らす涙を手の甲でぬぐいながらの食事──。
ふいに間違って口の中に入ってくる涙の塩辛さは、マリネの酸味と合わさって…いつの間にか消えてしまった。
「……美味しい」
完食するには時間がかかったけれど
わたしは結局、それを全て食べていた。
残したら彼は悲しむだろう…
そんな気がして、残す気分になれなかった。