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君をこんなに愛してる
第9章 白い世界の中で

思い出した。これは三年前のわたしだ。

せっせと撮影をしていく自分を見つけた庭師のおじさんが、一枚ぐらいどうだと言ってわたしも一緒に写してくれたんだ。

植木鉢の中で立派な花を咲かせているのはピンク色のラナンキュラス。

乾燥に弱いこの花を、当時のわたしは特別に気を焼いて育てた。だから一番のお気に入りだった。


その写真が一枚

アルバムにこうして収まっている。


会ったこともない

話したことだってない

…そんなわたしを見ても、彼は懐かしさを感じたのかな。



貴峰家の邸宅と、その離れ家。

距離にすれば決して遠くないのに、一度も会わなかった私たち。

貴方はずっと…わたしを想っていたのかな。



《 君の事はよく知っています。
 好きな食べ物や遊び、男性の好みだって…─ 》



生まれた時に押し付けられた感情──愛情。


そうだと知っていながら、貴方は……


この白い部屋の中で






コン コン



「──…栞?入りますよ」



その時、扉からノック音が。



「あ…、どうぞ」



わたしは開けていたアルバムを閉じて横の机に置いていた。







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