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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第31章 第十二話 【花見月の別れ】 其の弐
【其の弐】

 その翌日から、おきわとお彩、お美杷の三人での生活が始まった。お彩はおきわのために粥を作り、溜まった洗濯物を片づけた。晴れた日には布団を干し、少しでも滋養のあるものをと思い、卵や鰻を買ってきては食べさせた。
 その頃から、お彩は仕立物の内職を始めていた。表に「仕立物いたします」の張り紙をしたところ、早速、近所の瀬戸物屋の内儀が娘の嫁入り支度用にと何枚かの注文をくれたのである。お彩は眠っているおきわの枕辺に座って、ひたすら内職に精を出し、おきわの傍らに小さな布団を敷いて、お美杷を寝かせた。
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