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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第30章 第十二話 【花見月の別れ】 其の壱
 一日も早く春になって欲しい。お彩はこれほど春の訪れを待ちわびたことはなかった。春になって少しでも温かくなれば、おきわの病も少しは良い方向に向かうのではないかという期待があった。
 お彩は釣瓶を井戸に落とし、水を汲み上げる。
 その後も、黙々とただひたすら真冬の凍てついた空気の中で、井戸水を浴び続けた。
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