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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第32章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の壱
本当に一年ぶりに見る「花がすみ」は以前と全く変わらなかった。
―旦那さん、済みません。今更のこのこと顔を出せるような身じゃないことは判ってるんですけど。
お彩がおずおずと言うと、喜六郎は大仰とも思えるほどの身振りで首を振った。
―何を水臭えことを言ってるんだ。そんなことを言うために、わざわざ来たのかえ。ま、立ち話もなんだ、腰かけて、じっくりと話そうじゃねえか。
しかし、勧められても、お彩は座ろうとはせず、伏し目がちのままだった。
―お彩ちゃんが京屋を出たって聞いたときは、俺も流石にびっくりしたぜ。大店のご新造に迎えられて幸せに過ごしてるとばかり思ってたからなあ。それにー。
―旦那さん、済みません。今更のこのこと顔を出せるような身じゃないことは判ってるんですけど。
お彩がおずおずと言うと、喜六郎は大仰とも思えるほどの身振りで首を振った。
―何を水臭えことを言ってるんだ。そんなことを言うために、わざわざ来たのかえ。ま、立ち話もなんだ、腰かけて、じっくりと話そうじゃねえか。
しかし、勧められても、お彩は座ろうとはせず、伏し目がちのままだった。
―お彩ちゃんが京屋を出たって聞いたときは、俺も流石にびっくりしたぜ。大店のご新造に迎えられて幸せに過ごしてるとばかり思ってたからなあ。それにー。