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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第32章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の壱
そういう経緯もあってか、最初の孫敬次郎が生まれた砌は、再々訪れていた大和屋も小巻と伊兵衛の離婚騒動が起きて以降は、滅多と訪れなくなっている。ゆえに、喜六郎は平素から孫の顔を見る機会はあまりないのであった。
喜六郎には、孫の顔を見たいのに見られない鬱憤が溜まっている。しかし、お美杷が「花がすみ」に来たことで、喜六郎の日常は一転した。まるでお美杷が血を分けた孫であるかのように、お美杷の守をしたがった。店の暇な昼下がりには、喜六郎がお美杷を背に負うてよく店の前を歩いて守りをしている姿が見かけられるようになった。丁度、その日も店は昼どきの最も忙しい時間は過ぎ、ひと息つく合間であった。
喜六郎には、孫の顔を見たいのに見られない鬱憤が溜まっている。しかし、お美杷が「花がすみ」に来たことで、喜六郎の日常は一転した。まるでお美杷が血を分けた孫であるかのように、お美杷の守をしたがった。店の暇な昼下がりには、喜六郎がお美杷を背に負うてよく店の前を歩いて守りをしている姿が見かけられるようになった。丁度、その日も店は昼どきの最も忙しい時間は過ぎ、ひと息つく合間であった。