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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第32章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の壱
「良いってことよ。俺もそうは言ってみても、いざ自分がお彩ちゃんの立場になれば、大方は同じように取り乱すだろうからな」
そこで喜六郎は、昔、小巻が幼い時分にさらわれた話を聞かせた。当時、小巻は七つ、既にその頃から後に「小町」と謳われたほどの美しさを窺わせ、評判の美少女であった。そのあまりの器量の良さに、偶然眼を付けた質の悪い女衒に誘拐されそうになったという。
が、連れてゆかれそうになったすんでのところで、小巻が男の手に噛みついて、大声で助けを求めたため、男は狼狽して小巻の手を放し、ほうほうの体で逃げ去ったという。
そこで喜六郎は、昔、小巻が幼い時分にさらわれた話を聞かせた。当時、小巻は七つ、既にその頃から後に「小町」と謳われたほどの美しさを窺わせ、評判の美少女であった。そのあまりの器量の良さに、偶然眼を付けた質の悪い女衒に誘拐されそうになったという。
が、連れてゆかれそうになったすんでのところで、小巻が男の手に噛みついて、大声で助けを求めたため、男は狼狽して小巻の手を放し、ほうほうの体で逃げ去ったという。