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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第33章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の弐
 その瞳は闇よりも昏い。鼻筋の通った面立ちは端整だが、その双つの瞳に宿る光は険しかった。
 まるで何も感じてはいないような冷たい瞳の奥底に揺れるものがあるーと、思えるのは我が身の考え過ごしなのだろうか。
 視線が絡み合い、お彩は自分の中に市兵衛への想いが埋み火のようにいまだに燃えているのを今更ながらに思い知った。
 お彩は視線を逸らし、弱々しい声で言った。
「もうこれ以上、私をあなたの都合で振り回すのは止めて」
 その言葉で、市兵衛の手がお彩から離れた。
 お彩は、懐から今朝「花がすみ」に届けられた結び文を取り出した。それを差し出すと、市兵衛は無言で受け取り、すぐに開いた。
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