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第35章 第十四話　【雪待ち月の祈り】

　店が暇なときや喜六郎の手が空いているときは、喜六郎が守りをしてくれることも結構多い。滅多に孫に逢えぬ喜六郎は、実の孫のようにお美杷を掌中の玉と愛でていた。
た。お美杷を背負い、そのまま階段を降りてくるお彩に、喜六郎は両手を合わせた。
「済まねえな」
「いいえ」
　お彩は笑顔で応えると、お美杷を背に負うて店を出ていった。
「さて、お前の話を聞かせて貰おうか」
　お彩が出ていったのを見計らったように、喜六郎が安五郎に向かい合って座り、切り出した。