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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第36章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の弐
 喜六郎の笑い声に安五郎の笑いを含んだ声が被さった。
「なかなか鮮やかな手腕ですね。あの手の野郎はこちらが大人しく黙っていればいるほど、調子に乗るんですよ。私が相手をしていたら、とっくに堪忍袋の緒を切らせて、あんな男は追い出しちまってたでしょう」
 安五郎は笑いながら言った。
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